満員電車でリュックをどう持つかは場合によって悩ましい

TOKYO BACKTOTEまでのストーリー5

バッグは手に持って乗り込むのが、今や満員電車でのマナー。リュックの場合は?

アナウンスはこんなふうに入ります。「リュックは手に持ち、一人でも多くの乗車にご協力お願いします」と。手に持てる人は持ちます。持てない人はおなか側に背負い替えて対策したりします。

最近ではホームで電車を待っている時から、リュックをおなか側に背負い替えてスタンバイしている人を多く見るようになりました。

そもそも両手が空くのがリュックのメリット。だからリュックを選ぶ人の中には、両手を開けなければならない事情を抱えた人もいます。

例えば片手を患っている人。麻痺だったり腱鞘炎だったり骨折を抱えている人です。リュックなら元気な方の手が空くので作業ができます。電車なら片手でつり革や手すりを持てます。でも満員時にリュックを持つ手はありません。

さてリュック。

両手が空くリュックが必要だけど、ほとんどのリュックって開け閉めについては両手仕様。両手仕様が不便な場合は仕方なくショルダーを斜めがけしてしのぐことになるわけですけど、ショルダーの斜めがけの弱点は、たっぷりはものが入らないこと。重さが片方の肩にのしかかるため重たく感じもします。

つまり、片手仕様のリュックがあれば問題は解決します。

そんなリュックがどうしても必要な人もいます。右半身が麻痺して片手の握力がほとんどないけど仕事道具の書類を持って街に出る必要があるダンナサンみたいに。ダンナサンは体幹が崩れているためショルダーの斜めがけでは歩きに支障が出てしまいます。

袋本体の一部だけで吊る、一般的なリュックの構造では片手仕様になりません。収容物の重さをバランスよく肩で持ち上げるためには、リュックはどんな形をしていればいいのか、どんな構造をしているといいのかを考えました。電車対策も必要ですから、スリムじゃないといけません。

ややもするとメカ的なものになってしまうのですが、それはダメ。だってメカ的なリュックは持ちたくないから。もちろん見た目も大事なんです。

構造を変えても見た目に違和感ないデザインにするため試行錯誤し、TOKYO BACKTOTEの構造ができました。

出来上がってしまえば、なんでこの形が今までなかったんだろうっていうくらいシンプルな構造です。とりあえず特許を申請しました(笑)。

片手仕様じゃないとダメ!っていうわけではない私も、リュックのファスナーの開け閉めは非常に煩わしさを感じていました。うっかり閉めないまま背負って歩いて、通りすがりの人に「ファスナー開いてますよ」って注意されたこともけっこうあります。もれなくその後十分くらい落ち込みます。片手仕様のリュックって、私にも必要なリュックだったなーと思うのでした。